きまぐれレビュー

ミスター・ピーナッツ

分厚さとタイトル
表紙のかわいいドット。
で、
読みはじめた
アダム・ロス長編がとても良かった。

けど、こうしてレビュー画像を上げてみると
ご覧の通りで、
表紙はただのドットじゃなかった!!
髑髏、スカル。
近くで見るとわかんなかったのよ。

つくりが面白い。しかしながら
妻が殺されてばかりの話。
結婚生活の迷路を饒舌に語る。
たいがい夫目線だけど(笑)

いきなり殺人話なわりには
サスペンスやミステリーではなくて
怖いけどサイコやホラーでもなく
愛の話。心の話。希望の話。

終わりの方に
大学教授がヒッチコックの映画について
講義をする場面がみっちりと描かれていて
見た映画も、見てないのも、また見たくなったな。

memo
・回想のときのえんえんと続くリフレインが好き。「写真が捉えなかったものはほかにもある」p206←奥さんとの哀しすぎる旅行の道中の回想。「ハストロールは慣れた」p110←妻のひきこもりベッド生活に。

・「真ん中の話」p22
「何でも、真ん中と言うものはそういうものなんだ、水におぼれて、とても出来ないと思うくらい長く息を詰めていなきゃならないようなもの。気を失いそうになったとたんに、浮かび上がる。その直前が一番苦しいんだ。下り坂にかかる前の最後の上り坂ー一番高い場所。わかるかい?」「わかんない」
ダイエットに失敗し続ける妻への夫からの言葉。このあとも、この苦しみについてくり返し描いている。

・p26 魂はどんな姿なのだろう。きっとあの釣り目の宇宙人に似た、ひょろっとした霊体だろう。魂の仕事でとりわけ重要なのは、死すべき運命にある乗り物ー体を操縦することだ。だがアリスの体の場合は特別なオン・ザ・ジョブトレーニングが必要だ。アリスの体には、人より多くのレバーがあり、それを引くには最強の魂パワーが必要だ。
魂の仕事について同意!これは巨体で欝気味の気難しいアリスの寝姿を前に夫が考え事をしているシーン。

・p176~ ユナイテッド航空、被災者担当のネイサン・ハロルドの最高で神秘的なおもてなし力がすごい。テキスト全体を見渡してこの登場人物が唯一好き。あとの人は・・